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シリア国境で尽きる -アンマン-

10月 30th, 2011

written by kuro

居心地の良かったイブじいのピースハウスを出て行く日。

イブじいは、わざわざみんなの為に朝食を作って持参してくれた。

無償の愛に感謝が尽きない。

お礼と、ほんの少しでいいから自愛してほしい。とだけ伝えて後にする。

AM9:00を少し回った頃、日本人8人のビッグパーティーでミニバスに乗りイスラエル出国の為に国境に向かう。

こんな大勢での国境越えってのは初めてだな。

途中、イスラエル兵による検問に遭う。

「ドゥー ユゥー ハブ ウエィポン?」

何言ってるかのか一瞬わからず、聞き返す。「ウエィポン??」

「イエス、ウエィポン?」

あっ、わかった。兵器の事かあ!!

・・・って持ってねーよ。

「ノーウェイ、ウィードン ハブ ウエィポン」(持っている訳ないと伝えた)

ここでは普通の質問なんだろうな。

一言目にそんな質問がいきなり来るとは、流石に思っていなかったよ。

感覚の違いを改めて痛感する。

イスラエルの出国はすんなり終わると聞いていたのだが、おれらが団体のツアーか何かに思われたらしく、出国手続き近くの待機用の椅子で待たされる。

ぺーぺーの審査官の間違いだったようだが、あまりにはっきりと指示をされたのでみんなも一緒に待たせてしまい、まさかの1時間のロス。

本当は一切待つ必要もなく出国税を払い、所定の手続きをすれば良いだけだった。

そんなこんなで、ヨルダン側に入国できたのがPM1:00頃になってしまっていた。

イスラエル出国

ほとんどの人は、ふぅー。無事にヨルダンに入国って終わるはずなのだが、おれらにはこの後も移動の予定があった。

急ぎタクシーに乗り、シリア行きのバス乗り場へ移動。

そう。おれらは同日にシリアのダマスカスという都市まで行こうとしていた。

実は最近、シリアの郊外で内戦が起きている。行きたかったハマという場所もその危険地帯になってしまったので、その場所に行くのは断念していた。

すごく行きたかったけど、内戦が起きているんじゃ無理だと断念していた矢先、イブじいの家でつい最近シリアを旅行していた3人に出会い話を聞けた。

この頃のダマスカスは、治安も良く全く問題ない状況だと言う。

シリアの人々は、陽気で本当にやさしいと聞く。ヨルダンの人にシリアの話を聞いても、シリア人は素晴らしいと口を揃えて言う。

やっぱり、どうしても行ってみたくなったので、2,3日だけ治安が良いダマスカスだけでも行ってみる事にした。

でもね、この時期のシリアまでの道のりはやっぱり難しかったよ。

まずは、シリア行きのバスにはビザ(査証)が無いという理由で断られる(他の乗客を待たせることになるという理由)。国境で取れると聞いていたのと、事前に大使館でビザを取得するのはこの頃は不可能だったのでおれらは取りにいってなかった。

バス会社のスタッフに勧められて、1km先の乗り合いタクシーが停まっている場所に移動。

タイミング良く、ちょうどダマスカスに行こうとしている2人と居合わせたので、ランチを買い込みすぐに出発することができた。

時刻はPM2:00。タクシーは、ダマスカスのホテルまで一人11ディナール(1200円ぐらい)

乗り合わせた2人は、シリア人の若い男性達だった。

タクシーが走りだすとすぐ何やら笑顔で話しかけてきた。

アラビア語で、英語は全く通じない。シリアに向かおうとしているのに、すげえ申し訳なかった。

そしたらね、その若者、ジェスチャーで伝えてくるようになった。そんで、動画を見せてくれたんだよね。自分の仕事の動画や、カンフーの動画を。

ビルの工事現場で働く自分の姿を見せて、おれだおれだと自分を指す。カンフーの動画はなんだかすごい好きみたいだった。おれもしてたんだよってジェスチャーすると、すっごいうれしそうな顔をしていた。

いきなりシリア人の好感度がUPしたよ。

タクシードライバーも、おれらを全く面倒扱いせずに、ヨルダンの出国手続きでも、こっちだあっちだと一緒に案内してくれる。

そして無事にPM3:30に、シリアの国境に到着。

ビザをゲットして、無事に入国完了だあ!!って。

順調すぎるここまでに、全てがすんなり進んでいくものだと、二人とも何の疑いも持っていなかった。

甘かった。

まさか、ここから長い夜が始まろうとはまったく予想をしていなかった・・・。

もちろんシリア人の若者達は、あっさり入国手続き完了。

対応してくれた審査官は、流暢な英語ですごく笑顔で接してくれたのだが、

「ダマスカスの入国管理局が終了しているので、マネージャーの承認が必要になる。マネージャーが来るまで2時間待ってほしい。」と言われてしまった。

たぶん、ダマスカスの入国管理局はPM3:00に終了しているみたい。今はPM3:30。この30分の差が大きく状況を左右したのかもしれない。

それでもこの時はまだマネージャーが来たら、すぐにでもビザが取れるような雰囲気だった。

とりあえず、仕方がないのでマネージャーが来るまで待つことに。

タクシーと2人のシリア人には、先に行ってもらうように伝えた。そうかわかった。先にシリアで待っているよとい言わんばかりの笑顔で手を振ってのお別れとなった。

一緒に行きたかったな。

PM5:00、入国管理のスタッフが総入れ替え。夜勤にチェンジしたようだった。すごく感じ良く、英語も流暢だったおっちゃんも笑顔で、引き継ぎをしていなくなってしまった。

PM6:00、約束の時間だと思って話しかけたのだが、もう1時間待ってくれと言われてしまう。しかもあまり英語がしゃべれない人が担当になっている・・・。

この頃から、少しだけ不安を感じ始める。

お腹が空いてきたので、気分転換に国境のカフェでお茶しながら待つことにした。シュワルマにハンバーガーを食べて時間を潰していたのだが、その過ごした時間だけでも本当に驚いた。

シリア人の店員達、すごく気遣いができて親切。おれらの2人を邪魔をしないように、様子を見ながらお皿を下げたり、テーブルを拭いたり、他に何かいるかい?って聞いてきたり、ゆっくりして行けって笑顔で行ってくれたり。

なんだかね、すごく気の利く親切な日本人のサービスでも受けている感じがした。こういう対応ができた国は他にあったっけ?何より2人とも、すごく居心地良くそのレストランにいることができた。

トイレがどこかと聞いたら、店の外にある場所に近くまで一緒に来てくれたり。

大げさではなく温かいやさしさを、すごく分かり易く感じた。

もちろん、たまたまこのレストランのスタッフが親切だっただけなのかもしれない。一緒にここまで来たシリア人が人懐っこかっただけなのかもしれない。

それでも、おれらはやさしいと言われているシリア人の性格を、シリアという国に入る前から垣間見れた気がしていた。

それでも、3時間も何もない国境で待っているのには、少し正直な所くたびれて来ていた。

早くシリア行きたいね。

PM7:00、レストランを出ると外は真っ暗に変わっていた。国境を越える人も減ってきている。

入国管理のオフィスまで、歩いてたったの3分ぐらい。

パックパックを背負って、夜道を戻っていく。

「私達って、一体・・・。」

カヨがぽつりとつぶやいた。

ほんとだよな。何してんだろうって夜空の下で、少しだけ笑った。

審査官のいる窓口に戻ると、権限を持つマネージャーがおれらからは見えない部屋に到着しているらしく、ようやく担当の審査官から質問が始まった。

職業は何だ?2週間ヨルダンで何してた?2週間の詳細を教えろ?学生なら何の勉強をしているんだ?何の目的でシリアに行くんだ?

かなり質問が細かい。そしてイスラエルに行ってたんじゃないかと疑っていたのだろう。(シリアもイスラエルのスタンプがあると入国できないアラブの国)

しかも英語が、なんだか片言で話が前になかなか進まない。

一緒にいるのは兄妹かと聞かれ、妻だと言うと結婚している証明を見せろとか言われるし。パソコン開いて、結婚式の写真でも見せてやろうかと思ったよ。

スパイとかではないんだけどな・・・。

どんな仕事をしてたんだ?ってのも詳しく聞かれた。2週間ほど前に、日本人達が入国できているってのも伝えた。

そんなやりとりが1時間ほど続く。

担当官はあまり英語わかっていないまま、マネージャーのところに話をしに行き、すぐまた戻ってくる。また質問が始まる・・・。

他の担当官も助けにきて英語を聞いてくれる。

今度は、ちょうど隣の窓口に来たイラク人のおばちゃんが加勢してくれる。

英語の通訳をしてくれ、アラビア語で担当の審査官に説明。最後には彼らはただのツーリストよ。許可してあげなよってぐらい言ってくれた。

なんだか、イラク人女性の印象も変わったな。

そんなおばちゃんの協力もあって、担当してくれた審査官達はすごく好意的になり、最後は完全に味方になってくれていた。

「たぶん大丈夫。最終判断をマネージャーに聞いてくるぞ。」

笑顔で言ってくれた。

やっとかあ。これでなんとか入国できそうだね。

ドキドキしながら、最終判断を待つ2人。

「・・・・・・。」

担当審査官が戻ってきた。

「・・・・・・。」

真剣な顔してる。

結果は、「ノー・・・。」

一瞬で言葉を失って固まるおれら。

担当審査官は、「I’m sorry」って言ってくれた。

その言葉だけで十分だったよ。そんな言葉を言ってくれる入国審査官って、なかなかいないんだよね。普通は偉そうにばかりしているのに、ここの人達は違った。

せっかく来てくれたのに、すごく申し訳なさそうな顔で、おれらに入国許可がおりなかったことを伝えてくれた。

2人とも、仕方がないって心の切り替えができていた気がする。

それでも、どっと疲れていたよ。

なので、国境の真横に一つだけあるちょっと高そうなホテルに泊まろうとした。

けど・・・。

そんな切なる願いもかなわず、強制送還。

パスポートを奪われ、審査官の1人とアンマン行きのタクシーを探す。ちょっとうさんくさいタクシーだったが、審査官が粘って交渉をしてくれたおかげで2人30ドル(2500円)でアンマンのホテルまで行ってくれることになった。

シリア側の国境警備の所まで車で戻ると、一人のごついシリア兵が話かけてきた。

アジア人だとわかると、「お前、カンフーやるのか??」ってさ。「カンフーはしないけど、空手をしてたよ」って言うと、

急に目をギラリと光らせて、すげえうれしそうに、本気で闘いたそうな顔してた・・・。

テコンドーのベルト持っているんだってさ。

どうやら本当に格闘技の好きなお国柄みたいだよ。ますます、シリアに行ってみたかったって思った。

夜はまだまだ続いていく。

今度は、出国したばかりのヨルダンでの入国審査で別室行き・・・。

なんで、シリアに入国できなかったのかをライフルを持つ兵士が横にも立ち、細かく聞かれる。

質問が長引くにつれ、タクシーのおっさんがバックパック積んだまま、どっかに走り去らないかすごく心配になったが、無事だった。

ヨルダンの出国をキャンセルっていう扱いで、またヨルダンに入国することができた。

ようやく、タクシーの中で疲れたし少し寝れるって思っていたら、途中で2人組のこれまたごっついおじさんが乗ってきたもんだから、警戒し続けてほどんど休むことができなかった。(みんなやさしい普通の人達だったんだけどね。)

そして今日と言う一日、ずっと気を張り続けた日がやっと終わる。

前に泊まっていたアンマンのホテルに到着した時間は、PM11:00を過ぎていた。

宿のスタッフがおれらの事を、よく覚えてくれていたのがなんだかすごくうれしかった。

シャワーも浴びずに、2人ともベッドに転がった。

後で調べてみると、シリアの治安状況がまた悪化し始めていることを改めて知る事になる。入国できていて、不幸にも怪我をしたり、命を落としたりしなかっただけ良かったのかもしれないね。

それにしても、今日は精神的にタフな一日だったなあ。

でもね、

今回は縁が無かったけど、シリアという国がすごく行ってみたい場所になった日でもあったよ。

また平和になることを願っている。いつかシリアへ☆

「私達って、一体・・・。」その時の心境をよく覚えている。

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