最終日の「想い」 -クアラルンプール-

written by kuro

旅の終わりが、刻々と近づいて来ている。

この飛行機を降りて、次の飛行機が帰国への最後の移動になる。

バックパックを預けたら、なんと16キロになっていた。軽っ!!

お土産も持ち歩いていた時なんて、25キロを軽く超えていたのに・・・

LCCに乗る時は、いつも荷物を整理してカヨのバックに移していたのに・・・

随分と軽くなったなあ。

靴とか、服とか、ずっと旅で利用していたボロボロの身の回り品を、バリ島で全て捨てて来た。

最後の最後で、ようやく荷物がスッキリした。

他の旅行者と比べて、ちょっと荷物が多かったのも事実・・・

窓の外ではバリ島の灯りが、ぼやけながら徐々に遠ざかっていく。

まるで今まで過ごして来た長く濃密な時間まで、とても短い期間であったかのように意識からも遠ざかって行く。

代わりに意識の中で今まで遠くに存在していたはずの、日本で待つ現実を徐々に近くに感じ始めている。

one before last flight

不思議と2人とも、急に涙が出そうになるほど感傷的にはなっていない。

至って冷静に、それぞれが想いを受け止められている感じ。

それでも、目頭が熱くなるタイミングが時々ある。

それは、2人で旅での出来事を懐かしんで思い出し、言葉で「こんな事があったね。」と語り合っている時。

タイムスリップしたかのように、あの時に戻っている。

マダガスカル、ザピーとマイエと過ごした長い長い2日間の帆船での移動。

フィンランド、ペタヤヴェシの古い教会が開いてなくて必死に人を尋ねて。

アメリカ、グランドサークルをドライブしているのに恵まれない天気に気持ちまでネガティブになりそうで。

ボリビア、プーノで来るはずのタクシーが来なくて焦っている時に、助けてくれた人にちゃんとお礼もできず。

パタゴニア、あの空気の透き通った心地よい寒さに魅かれて、戻って来れるようにとカラファテの実を食べた。

・ ・ ・

そんな数々の思い出を振り返りながら話しをしていると、いつの間にか目に涙が集まり始め、溢れないように必死に堪えようとしている。

もちろん、悲しい訳ではない。

嬉しくて泣きそうになっている訳でもない。

近づいている終わりに寂しくなっている訳でもない。

ただ、思い出が大きすぎて。

すごい経験をしていたんだと、なんて貴重な時間だったんだと、

思い出して無意識に感慨深くなっていると、自然に熱い想いが込み上げてくる。

有り難う。本当に、幸せな時間だった。

だから今は、現実と待ち受ける未来を受け止めて前に進める気がしている。

・・・

クアラルンプールでの最後の2泊は、自分の時間が取れるように贅沢する事に決めていた。

宿の名前は、Ambassador Row Serviced Suites by Lanson Place。

割引が大きく、評価の良かったホテル。

別に狙った訳ではないのだが、旅の始まりのホテルはAmbassador hotel waikiki。

始まりも、終わりもAmbassador の名が付くホテルとなった。

これもちょっとした不思議な縁なのだろう。

ホテルの部屋は、寝室、キッチンの他に2部屋分のスペースがある。

デスクも2つあるし、ソファも2つある。

リラックスするには、最適の場所だった。

最後の宿

到着した夜は、ぼーっとしてなかなか眠りにつけない夜を過ごし。

2日目も、ほとんどそれぞれ思い思いにぼーっとして、広い部屋でのんびりと過ごしていた。

気が向いたから、今日もブログを書いてみた。

そう言えば、遅れていたブログも遂に1ヶ月ほどに追いついている。

一時は、4ヶ月も遅れていたからなあ・・・。

基本、旅を楽しむ事を第一に、気分が乗らない時はブログを書かない。

でもその時の感覚や感情を忘れないように、メモ帳に必ず残して置く。

タイやバリ島で気分も乗って来たので、ブログの追い込みをかけたんだけど、

実は少し昔を振り返りながら、ブログを書くのがすごく面白かった。

リアルにその時を思い出して、少し前をまた旅しているような気分になれた。

知り合いや、面識のない有り難い読者から、「自分まで旅をしている感じになれる。」とコメントをくれたのがメチャクチャ嬉しかった。

遅れたブログを書いている俺らも、もう一度その場所を旅している様な気分になっていた。

俺らはその時に受けた感覚や感情を、伝わりきれなくてもできるだけ自分の言葉で細かく書こうと思っている。時々、よく分かんなくなる時もあるけど・・・

読んでくれている人が「自分だったらこう思うのかな」と少しでも想像できたりしていたら最高だけど。

まあ一番のこのホームページの意義は、他でもない自分達の為だとは思っている。

この先、大切なモノが見えなくなってしまったり、

社会の波に押し潰されそうになってしまったり、

自分の心がどうしても強く保てなくなってしまったりした時に、

このホームページを見て旅での日々を思い出せば、心の在り方をプラスに作用する事ができるだろう。

20年後にこのホームページを見たら、どう思うのかな。

なんて偉そうに言っているけど、このホームページを作成したのは、ほとんどカヨであり俺はブログをちょくちょく書いていただけ・・・。

よく頑張ったね。

それでも、俺にとっても大きな宝物となったこのホームページ。

帰国してから、もうちょっとだけ更新しないとだけど。

そんな感じで最終日も気分が乗ったので、少しブログを書いたりしていた。

後はスーパーに買い物に出掛けたぐらい・・・。

文字通り、旅の最後の晩餐。

気分だけでも盛り上げたいと、安いブルゴーニュの赤ワインを買い、アンチョビ入りオリーブ、ゴーダチーズ、スモークソーセージに、空芯菜と椎茸。

ワインのフワフワとした心地よい酔い方が、すごく好きだ。

晩餐

今日はすごくゆっくりしたつもりだったんだけど、最後の一日もなんだかあっという間に過ぎて行った気がする。

いざ、最後の日だと思って意識してすごく大切にしようとしても、時間の流れを抑える事はできない。

むしろ早く感じてしまう。

一方で長い旅の途中、ゆっくりと流れている長い時間を、無意識に有意義に使えている一日がいっぱい存在していた。

もしかすると、無意識にゆっくり流れる一日を楽しめている人ってのが本当に幸せなのかな。

旅に出る前は、一瞬で終わって行く毎日を、焦りながら生き急いで過ごしていた様な気もする。

心の豊かさは、必ずしも裕福さと比例はしないんだろう。

この旅で得た感覚を、いつまでも忘れないようにと自分に言い聞かせる。

そして明日、日本に帰ります。

もうすぐ久し振りに、「ただいま」が言える。

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