日本散歩

written by kayo

これ、箱根の箱根美術館。

箱根美術館

 

これ、青山の根津美術館。

根津美術館

日本庭園て、どうしてこんなに気持ち良いんだろう。
緑の美しさ、静けさ、涼しさ、風の心地よさや匂い。

一歩足を踏み入れると、外の世界と空気や時間の流れがガラッと変わる。
「完璧」なんていう言葉じゃ全然足りない感じがしてしまうくらい、異空間というか、小宇宙。

箱根美術館

やっぱり、日本人の美意識ってすごい。
日本でずっと育ってても、驚きや発見をいっぱいくれる。

他の国でも繊細な技や世界観は見れたけど、「趣」とか「風情」なんて言葉を浮かばせてくれるところに、日本独特の感性があるんだろうな。

根津美術館

根津美術館の作品たちの中で一番心を奪われたのが、蒔絵の香箱や硯箱。
四角く限られたスペースの中に、大きさが様々に違う引き出しが組み合わされてたり、道具それぞれの為に用意された枠がある。

そしてその表面を、充分過ぎる利便性の価値を格段に底上げするかの様に、繊細で華やかな装飾が覆い尽くしてる。

根津美術館

近頃はテレビや雑誌で上手な収納の特集をすると、100円均一の商品が大活躍してる。
そして自分も含め多くの人が、そのアイデアを何の疑問もなく、良いものとして受け入れてる気がする。

決して間違ってる訳ではないと思うけど、これって昔より豊かで物の値が下がってる時代の、「気を抜くと雑然としてしまうほど溢れた物たちを、いかにスッキリ見せて収納するか」っていう考えで。

それに比べて蒔絵の道具箱たちからは、少なく大切な物たちへの、丁寧な接し方や愛しさみたいなものが伝わって来る。

箱根美術館

そんな違いを考えてた時、小学校低学年の頃に使ってた筆箱を思い出した。
裏表、フタが空くようになってて、鉛筆一本一本を差し込めるキャップがくっついてたり、消しゴムだけ入れる場所や、物によっては鉛筆削りが内蔵されてた様な機能的な筆箱。
外側はお気に入りのキャラクターのデザインになってて。

思い返すと、その限られたスペースの中には、私に選りすぐられて、愛された物たちだけが入っていた様に思う。
鉛筆一本、定規一本、その一つ一つに愛着があって、どれか一つでも欠ける事は軽く事件で。
少しでも欲張って、余計な物を足そうとすると、すぐにフタが閉まらなくなってしまう。
だから、本当に必要で、気に入った物しか入ってなかった。

子供の頃は自然と持っていた、物に愛着を持ったり、限られた物を大切に使う感覚が懐かしく戻って来た。

大人になるにつれて簡単に物が手に入れられるようになって、必要以上の物を抱え過ぎてはいないか。
それは物だけでなく、生きていく上で関わるあらゆる事柄に関しても。
そんな自分への問いかけが、ゆっくりと頭の中を巡った。

もっと本当に大切な物や惹かれる物への感度を高めたら、自然と無駄な物は省かれていくと思う。
無駄を通り越して、邪魔になってくるだろうから。

箱根美術館

時代の流れや場所によって簡単に変わる、「良し悪し」や「当たり前」っていう価値観を、ボーっとそのまま自分の中に流し込んでしまってる事がよくある気がする。

一般的とされてる常識や社会通念も、人を守ったり律したりもするけれど、時には都合のいい言い分や逃げ道になってしまう時もある。

ちゃんと自分が目を覚まして、違和感や疑問に正直でいないと、いつの間にか他人の価値観で人生を生きていく事になってしまうかもしれない。

残りの人生が何年あるか分からないけど、もっと無駄なものを減らしていって、そこに大事なものを入れていきたいな。

Category: 44.帰国後 Comment »

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