シンデレラ城で得たもの -フュッセン-

written by kuro

雨・・・。

昨日は晴れていたのに。

止む気配なし・・・。

しかも、外はなんだか随分と寒い。

晴れの日は半袖T‐シャツで歩けたのに、この日はユニクロダウンを着ていてもまだ寒く感じた。

こんな日に限って、ツアーを申し込んだ。

それも、ノイシュヴァンシュタイン城への日帰りツアー。

あの、シンデレラ城のモデルとなった城であり、日本人にとってはドイツNo.1の見どころとなるであろう場所。

ホテルから、20分歩き駅まで、さらに20分電車に乗りミュンヘン中央駅(Hauptbahnhof central station)へ。

集合場所は、駅構内のスターバックスの前にAM9:15。

雨と寒さで、すでに気分があまり乗り気じゃなくなっていたが、温かいスタバのコーヒーがうれしかった。

今回はホテルに置いてあったパンフレットで見つけたツアーをネットで予約。

NEWNUNICHという会社の行う英語のガイドツアーで、AM9:15~PM5:00ぐらい 大人35ユーロ(交通費&ガイド料)別途 城への入場料8ユーロ。

実は、個人で当日行くよりは、このツアーが安いようだった。(たぶん、旅行会社が電車の早期購入割引とかを利用しているのだろう)

ツアー参加者は、10人ぐらいでおれらの他に日本人はいない、見るからに多国籍のツアーとなった。

ガイドのレッツゴーの掛け声とともに、移動を開始。

「あれっ?」

おれは、てっきりバスに乗って一気に、城の近くまで行くのかと思っていたのだが。

普通に、みんなで仲良く電車に向かう。数人は同じようにバスだと思っていたらしく面食らっていた。

でもちゃんと、ガイドはみんな座れるように空いている車両を案内して、全員の点呼をとる。

公共機関を利用してみんなで行くツアーに参加したのは、初めてだったのでなんだかワクワクしてきたり。

みんな思い思いの場所に座っていたのだが、ガイドは全員の顔をちゃんと覚えており、全員の近くへ順番に来ては、自己紹介をして今日のツアーの内容を楽しそうに案内していた。

ガイドの名は、アダム。

オーストラリア人で、ノイシュヴァンシュタイン城に魅せられて、異国の地でガイドになることを決めたようだ。

アウトドア好きで、とても楽しそうに話しをしてくれる。日本で起きた地震のことも心配そうに聞いてくれた。有り難いことだ。

バスで行けるほうが楽だったかもしれないが、どうやらこのツアーはおもしろくなりそうな予感がした。

ツアー中、ずーっとひたすらふざけながら取っ組み合いをしている兄妹(たぶん14歳ぐらい&12歳ぐらい)と、それを呆れながら、時々キレながら制止しようとしている母親がいた。

他のツアー客も、さすがに変わっている家族と思ったようで、ずっとその兄妹と母を笑いながら見守っていた。

呆れるほど、仲が良い家族。

パンチに、キックに投げ技まで、兄妹同士で繰り出していた・・・。一日中・・・。

そんなそんなで、ガイドもメンバーもおもしろく飽きることなく、電車を乗り継ぎ、バスに乗り換え、あっという間に目的地に到着。

まずは、近くにあるもう一つの城である、ホーエンシュヴァンガウ城を遠目から見学。

ここは、ノイシュヴァンシュタイン城の建設に全てをかけたルートヴィヒ2世が幼少時代過ごしていた城。

ホーエンシュヴァンガウ城

この城には近寄ることもなく、遠くから見上げただけ。

周りには観光客が他にも沢山いたのだが、みんなすごい寒そうな顔をしている。雨も全然、止む気配もない。

夢の城ツアーなのに、テンションがあまりあがらない。

それくらい、本当に寒かった。

ふと、横をみると、アイスを食っている奴らが居る。

って思ったら、なんと同じツアーの取っ組み合い兄妹じゃねーか。

元気なもんだな。と思って見ていると、食べ終わったアイスの棒を母親のレインコートの頭の上に置いてみたり・・・。

どーしよーもねーな。ってみんなで笑って見てしまってた。

おれらも何を見にきたんだか・・・。

さて、このツアーで有り難かった事は、ノイシュヴァンシュタイン城のチケット購入もガイドが代行してくれたこと。

おかげで、おれらは雨の中で並んだりする必要は無かった。

チケット売り場から、城までは上り坂を40分ぐらい歩いていく。馬車も走っており、それに乗ることもできた。

天気が良ければ、気持ちよく歩けたかもしれなかったが、今日は歩いていてもまだ寒く感じるし、所々に落ちている馬糞は雨に溶かされてちょっと汚くなっていた。

そんな中でも、ガイドのアダムは色々と説明をしながら、みんなの体調や歩くスピードにも本当によく気を配っていた。

しばらく歩き、ようやく木々の上からシンデレラ城のモデルが見えてきた。

ノイシュヴァンシュタイン城

まだまだシンデレラ城と呼ぶべき実感は、今一つかな。

どんどん歩いていくと、騎士が竜と戦っている彫刻が見えてきて、そのうち目の前に城がお目見えする。

騎士と竜

ノイシュヴァンシュタイン城

そーいや、ディズニーランドのシンデレラ城のアトラクションも竜を倒すストーリーだったな。

そんなところもモデルにしているのかな?

城は完全に時間を区切った専属のガイドツアー制になっていて、個人で見学することはできない。

うちらを率いていたガイドのアダムも、専属ガイドの話を聞きながら、コソコソとおれらにわかりやすいように補足してくれたりしていた。

城の中の部屋は、せまい場所が多くて、ガイドツアー制になっているのも納得できた。

この城は、ルートヴィヒ2世という一人の王が、政治的混乱や、自身の婚約解消などで政治への関心が薄れていく。

そんな中、フランスのヴェルサイユ宮殿を訪れ、夢の城の建築を思いつき、莫大な資金と時間をつぎ込んだという。

場内も夢の城と言うべく、内装もきれいだった。

城の見学が終わると、また少し山を登り近くの橋に辿り着く。

そこから、【夢の城】ノイシュヴァンシュタイン城の全貌をきれいに見ることができる。

確かにシンデレラ城のモデルとなったというのも、納得できた。ここからの景色は素晴らしい。

ノイシュヴァンシュタイン城

結局今日は、一度も止むことは無く、雨が降り続いていた。

ここは晴れていたら、景観もすばらしく、ちょっとしたハイキング気分でもっと楽しめるんじゃないかな。

まあ、行くべき場所だね。

帰りのミュンヘン行きの電車では、疲れて寝ている人が多かった。

ガイドのアダムはみんなの様子を見ながら、起きてる人から順番に最後の最後までノイシュヴァンシュタイン城にまつわる話しをしてくれた。

ルートヴィヒ2世の謎に満ちた死の真相なんかを話している姿は、目を輝かせて本当に話すのがうれしそうに見えて、すごくガイドという仕事を楽しんでいるのが伝わってきた。

ミュンヘン駅につくと、ガイドのアダムはちゃんと一人一人に声をかけて、「ガイドツアーに参加してくれてありがとう。」と真っ直ぐな笑顔をみせていた。

アダムはみんなを見送った後、リュックを背負ったまま足取り軽く、まるでスキップするかのごとく駅の出口の方向に消えて行った。

おれとカヨは、その後ろ姿を自然と目で追っていた。

すごく充実した後ろ姿に見えていた。まるで、遊んできた帰りでもあるかのように。

なんだか、うらやましかったなあ。

達成感に浸るっていうより、ただ単純に楽しんで好きな仕事をしている。

生まれ育った国を離れてでも、本当に心惹かれたことを仕事にする。

そういう生き方は理想的で素敵だね。

帰国後の日本では、厳しい現実でも待っているかな?

おれにも、一生楽しみながらできる心惹かれる何かが見つかるといいんだけど。

おれにとっての今日は、シンデレラ城を見てきたことより、アダムの楽しそうに去っていく後ろ姿が、強く印象に残ってしまった。

理想か、それとも現実か。

どっちのハードルも越えたいね。

Category: 15.ドイツ Comment »

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